PORTFOLIO
EVENT OTHER
Pechakucha
PRESENTED ON JUN 25, 2014
IN TOKYO @ VOL 115
六本木Super Deluxe
プレゼンテーションイベント『Pechakucha』に参加してきました。
200人ほどのギャラリーの前で、20枚の画像のスライドショーに対して20秒ごとのコメントを行い、世界に『一鬼のこ』のパフォーマンスをプレゼンしました。その他、様々なクリエーターも同じように参加。六本木の夜がクリエイティブに盛り上がりました。
『Red』撮影現場

ロープアーティスト Hajime Kinoko ×つながる赤い縄の世界 -『Red』の撮影現場へ-
※この記事は、フェチフェスブログさんの取材として千歳まほさんが書かれた記事を転用させていただいております。

先日都内のスタジオにて、とある撮影が行われた。緊縛師、そしてロープアーティストのHajime Kinokoさんの新しい作品の撮影である。彼は現在、日本のみならず海外からも注目されている。その技術と独自性で表現された様々なジャンルの作品たちは多くのファンを集めているのだ。そんな鬼のこさんの作品が生み出される現場を覗ける機会はめったにない。私は早歩きでスタジオに向かった。
扉を静かに開くと、はじめに目に飛び込んできたのは真っ白い空間に浮かぶ赤い縄だった。そしてスタジオのその中心に一鬼のこさんの姿が在った。

この日は大掛かりな撮影ということで早朝から多くのスタッフが集まり共に作業に取り組んでいた。スタジオ内には大型のタンカンが設置されてる。これから沢山の縄を吊るし支えるためには重要な骨組みだ。さらに、今回のアートに欠かせない被写体となるモデルを更に際立たせる存在にするためにヘアメイクやスタイリストも本格的に導入されたという。各々が作業を進める中、スタジオの天井から赤い縄がスルスルと降りてきた。縄の先端に透明の糸が付いているので、だから、まるで宙に浮いているように見えるのだ。
スタッフが天井から手作業で降ろすのだが、その位置をKinokoさんが細かくチェックしイメージに近づけていく。以前、自身の創るアートでは縄の位置や組み方を細いところまでイメージしていると言っていたのを思い出した。繊細な過程のなかに、強いこだわりを感じられる。

撮影ではスタイリストとして緑川ミラノさんが参加されていた。原宿にあるセレクトショップBaby Doll Tokyoのオーナーを務め、またその商品は各界の著名人から愛されている。そのようなスゴ腕の女性がKinokoさんの作品にさらなる魅力を加えていくのだ。また、モデルに起用された街子さんは原宿系ストリートファッション誌KERAで人気を博した読者モデルの経験を持つ。現在はモデル業の傍ら女優業にも力を入れ、今回の撮影も舞台を終えたばかりで参加をしてくれた。スタイリッシュな身体のラインと存在感のある美しさがどこから見ても絵になっていた。



カメラを持つKinokoさんは一段と真剣な表情だ。というより、スタジオでのKinokoさんはずっといつもと違うように思えた。普段、気さくで物腰の柔らかい鬼のこさんは縄を持つと顔つきが変わる!と言われているが、この日もまた違う凛々しさを感じた。緊張感と真剣さが伝わる。

自ら動き、脚立に登り、天井に上がり、そのシーンを逃さない。

モデルを作品のイメージに近づけていく各分野のスタッフは皆、Kinokoさんに積極的に自身の意見を提案するやりとりが印象的だった。

最初のカットを終えると次の撮影に向けて大規模なロープインスタレーションが始まった。インスタレーションとは現代美術用語で、作家の意向で空間そのものを変化させ、その全体を作品として体験させる芸術のことである。
大きな脚立が運び込まれ、かなり高い場所から赤い縄を結び繋ぎ合せていく。


時々脚立を降り、全体像とバランスをチェックするKinokoさん。手際よく作業を進め、指示を出す。少しずつ少しずつ縄の量が増え、大きな『何か』になっていく。見上げる取材陣が見守るなか、進んでいくその過程は見ていて全く飽きなかった。しかし、とても繊細な作業なだけに並ならぬ忍耐力が必要だと思った。見ている方は全くどうなるか想像もつかないが、どんどん縄の網目は細かくなり立体的な形になっていく。Kinokoさんの創造物が姿を現していく。





もはや、別の空間のように感じた。以前の作品からも迫力は感じる写真はあったが、やはり実際に目の前にすると迫力が物凄い。まるで美術館で大きなアートを見ている様だ。写真だけではなくロープアートも実際に見る事の出来る機会が欲しくなる。

この小さな一本の縄をここまで大きく壮大に変え、心動かす術を持つKinokoさんは間違いなく【ロープアーティスト】なのだ。
スタジオ内のスタッフが奮闘するなか、裏でも奮闘するスタッフ達がいた。



次の衣装準備や使い終えた縄の片付けなどを進めている。このように協力しあうことは、作品を創る上で決して欠かせないシーンだ。ここにいる一人一人がKinokoさんの作品に欠かせない存在なのである。

ヘアメイクを担当したChiakiさんはフェティッシュマガジン『IN FAMOUS MAGAZINE』をはじめ世界的に一目置かれているパーティ「モントリオール フェティッシュ ウィークエンド」のファッションショーにてKurage、パトリスカタンザロのヘアメイクとして参加した一人だ。その活躍は国内外にも渡る。

モデルの街子さんは普段はショートカットだがヘアメイク後の髪型が凄かった

イメージに合わせた不思議な世界観のある髪型は、和が漂う宇宙から来たプリンセスのようだ。ちなみに95%地毛ではない事が驚きだ。これぞChiakiさんが持つ技なのだ。また、きちんとお見せ出来ないのが残念だがミラノさんが担当した衣装がどれも素晴らしかった。コルセットとレースが可愛く美しく、長いスカートはその場で手際よく作られていた。セットに合せて臨機応変に対応していくその仕事ぶりに感動した。鬼のこさんの作品をより魅力あるものにしていったのだ。ひとつの作品には鬼のこさんを始め、沢山のスタッフの努力や力が秘められているのである。


スタンバイすると街子さんは「今まで見たことのない景色です!」と驚いていた。誰もが驚く赤縄の空間で鬼のこさんはシャッターをきる。


モデルを使用した撮影を終えると鬼のこさんはある物を手にしひとり縄のなかへ。
ある物を撮影していた。
重要な物のようである。
こうして一通りの撮影を終え、拍手で幕を閉じた。時計はすっかり夜を示していた。思えばKinokoさんはひとり、ほとんど休憩をとらずに作品創りをしていたように見えた。しかし、やりきった達成感にKinokoさんを含め皆が笑顔だった。

取材を終えて
今回撮影を取材させていただいて、思ったことはKinokoさんが創り出す『Red』の世界観の強さと魅力でした。白い背景に強く主張する赤い縄がその作品をよりいっそう力強く表現していくように感じました。Kinokoさんの作品『Red』シリーズは『つながり』を示しています。今回どのような作品が出来上がったかはもちろんまだ分かりませんが、Kinokoさんの作品を一緒に作り上げた沢山のスタッフとKinokoさんには強いつながりを感じました。ただ自分が与えられた仕事をするのではなく良い作品を創るために皆が積極的だったのです。まさに素晴らしいチームワークでした。これはKinokoさんの人柄に繋がることではないかと思います。作品を通して見る側に伝えたい『つながり』を日頃から大切にしていることが、取材の中で十分に伝わってきました。だからこそ本当の意味で良い作品を生み出し伝えることができるのはないでしょうか。
フェチフェスブログさん 取材:千歳まほさん
その他の取材していただいた記事です
MEN’S CYZOさん
「すべてはつながっている…緊縛師・一鬼のこ、ロープアートの集大成となる個展『Red』を開催」
Feti.Tokyoさん